「あー、わからなくもないけど。だってお前可愛いしな」

私から鏡を奪って再び頬に手を添えてきた虎。

虎とこんな近い距離、普通の女の子ならドキドキしたりするんだろうな。

けど私は……。

「気に入らねぇなぁ」

「え?……んっ」

後頭部に手を添えられて、キスをされた。

「っちょっと虎!」

「叶恋の頭の中、そいつでいっぱいなのとか気に入らねぇ……俺といんのに」

っ……なんでそんな悲しそうな顔すんのよ。

悲しそうな、でも少し怒ってて。

「俺に言いたくなかったって考えただけでもその男に殺意沸く」

「虎、落ち着いてよ」

「なんで言いたくなかったんだよ」

なんでって……。