すやすやと眠っているけれど、たぶん指先をピクリとでも動かしたら、きっと起きてしまうのだろう。
 緊張感と後悔と、自己嫌悪、そして幸福。
 ごちゃ混ぜの思考でその寝顔を見つめていると、眉が寄せられて長いまつげか小さく動いた。

「リティリア」

 ボンヤリと淡いグリーンの瞳が私を見つめた。
 やはり、起きた気配というのはわかってしまうのだろう。

「ずいぶん早起きだな」
「昨日寝るのが、早かったので」
「はは、料理長にリキュールは控えるよう、よく言い含めておかなくては」