どこに行ったんだろうと辺りをきょろきょろと見回してみる。

 逢伊さんのお家は一人暮らしだとは思えないほどの家具の多さで、綺麗なモノトーンで統一されている。

 掃除も行き届いているようで、新築みたいにピカピカだった。

「璃々、はい。これ、好きでしょ?」

「あ、ありがとうございますっ!」

 その時、逢伊さんがココアが入ったマグカップを手渡してくれた。

 白い湯気がほこほことたっているココアは、見ているだけでも心が落ち着く気がした。

 逢伊さん、本当によく見てるな……。

 私、一回しか逢伊さんにココアが好きだって言わなかったのに、覚えててくれたなんて……。

 逢伊さんは私の向かい側のソファに座っていて、優雅にコーヒーを嗜んでいる。

 私もマグカップに口をつけ、温かいココアをゆっくりと飲んだ。

 やっぱりココアは最高……。

 温かいから身も心もぽかぽかになる。

「璃々、これからは俺の家に住まない?」

「え……?」

 ココアをゆっくりと楽しんでいると、突然逢伊さんがそんなことを口にした。