恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 ……本当に、逢伊さんが、したの……?

 嘘だって、冗談だって言ってほしくて、逢伊さんの瞳を見据える。

 でも……その瞳に、光は灯っていなかった。

 逢伊さんはそのまま私を強引に引き寄せ、耀太から離す。

 この前まで安心できるものだった腕の中が、一気に恐怖へと塗り替わる。

「やっ……!やめてくださいっ……!」

 逢伊さんの胸板を押して拒否するけど、体が私よりも大きくてしっかりしている逢伊さんには全く効かない。

 それどころか、更に強い力で抱きしめられて動きを封じられてしまう。

 だけど、私は拒否をやめずにずっと腕の中で身をよじっていた。

 ――今逢伊さんのところにいるのは、危険すぎる。そう、分かっていたから。

「ふーん、拒否するんだ。だったらお仕置きだね。」

「な、なにす……いっ!?」

 お仕置きという単語の直後、首筋に鈍い痛みが走り、耐えきれずに涙が滲む。

 首もまともに動かせないからどうなっているのか分からないけど、きっと血は出ているだろう。

 逢伊さんは痛みが走ったところを舐めて、私の耳の傍で言葉を続けだした。