恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

「…………え?」

 逢伊さんのその言葉を理解するのには、多少の時間が必要だった。

 全て、私の……せい?

 その言葉をうまく理解することができず、無意識に目を見開かせる。

 意味が、分からない……。

「どういう、ことなんですか……?」

 気付けば私は、そんな疑問を逢伊さんに投げていた。

 ……だけどこれが、後悔の入り口だった。

 逢伊さんは少し意味深に口角をあげて、私の目の前で腰を下ろす。

 そのまま逢伊さんは、私の頬を愛しそうに撫でながら、ゆっくりと口を開いた。

「この世界にはゾンビが溢れかえってるでしょ?それはね、俺が仕組んだことなんだ。」

「し、くんだ……?」

 また、逢伊さんは意味の分からないことを言う。

 でも今の、私の知らない逢伊さんなら……そんなこともやってしまいそうだ。

 まさか、そんなわけ……。

 そんな淡い希望を一瞬持つも、それはいとも簡単に崩された。

 逢伊さんは私の言葉に……迷うことなく首を縦に振ったから。

「俺はゾンビパウダーを独自に開発して、この世界をゾンビだらけにしたんだ。だから俺の持っている武器以外は通用しないし、璃々や普通のゾンビハンターには勝算なんてない。」