恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 そう言いながら耀太は面倒そうにしながらも、私の頭をふわっと撫でてくれた。

「ううっ、耀太ぁ……。」

「はいはい。分かったから泣くな。」

 耀太はみっともなく泣く私を見てふっと微笑んでから、自分のほうに引き寄せようと私の腕を掴んだ。

 もしかして抱きしめられるのかな……なんて思って瞼を反射的に閉じる。

 でも耀太に引き寄せられる前に、あの人の声が背後から聞こえた。

「璃々、ここだったんだ。見ーつけた。」

「……っ!?あ、逢伊、さん……っ。」

 いつもなら勢い余って逢伊さんのほうを向くけど、今はそんなことできない。

 恐怖でどうにかなりそうで、微かに震えも分かるようになってきてしまっている。

 怖くてぎゅっと瞼を瞑って、下唇を噛み締める。

 その時に耀太にふわっと包まれるように抱きしめられた。

「闇重、お前……。こんなに璃々を怖がらせて、何をしたいんだよ。」

「君には関係ないでしょ?俺たちのことなんだから、首を突っ込まないでくれる?」

 耀太のしっかりした言葉に、逢伊さんは怒りを含ませたような声色で淡々と返している。