恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 耀太の言うことも聞かず、挙句の果てに耀太に嫌いって言って……最低だ。

 そうやって思いながら、逢伊さんにバレる前に無我夢中で走って逃げる。

 その途中で、どこからか耀太の小さな声が聞こえてきた。

「!……耀太っ!どこっ!?」

「璃々……ここ、だ……。」

 大きな声で耀太を呼び、どこにいるのかを探る。

 私の言葉に答えるような声が返ってきて、私は急いでその声のほうへと向かった。

 さっきまで走っていたから息切れが凄いけど、今はそんなこと言ってられない。

 耀太、どうか無事でいて……っ!

「耀太っ……!」

「……璃々、か。」

 近くの大きな建物の中に入り、その建物の入り口の近くに耀太の姿を捉えることができた。

 私は急いで耀太に駆け寄り、無事かどうかを確認する。

 噛み後は……なさそう。良かった……。

 だけど、耀太の体にはこれでもかってほどの傷がついていて、化膿しているものもあった。

 この傷、もしかして……っ。

「耀太、この傷って……。」

 耀太の体についている無数の傷に視線を移しながら、恐る恐る耀太に尋ねる。