恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

「逢伊さん、どうしましょう……。私の銃、ゾンビたちに効かなくて……!」

「落ち着いて、璃々。とりあえずここから移動しよう。俺の家が近いからおいで。」

「!……ありがとうございますっ!」

 逢伊さんのお家はゾンビ対策もばっちりで、早々にゾンビが来ない。

 そんな逢伊さんのお家にお邪魔させてもらえるなんて、すっごく申し訳ないけど、もう家には帰ることができないんだ。

 だから今は、この逢伊さんの言葉が救いだった。

「よし、少し走るけどちゃんとついてきてね。」

「はいっ!」

 私は一応、足止めの為弾を銃に補充しておいて、逢伊さんの後を追った。



 屋根伝いに逢伊さんのお家へと向かう。

 幸いなことにゾンビたちは屋根の上へと上ることができないから、このルートが一番安心できる。

 本当に逢伊さんに会えて良かったな……。

 昔から逢伊さんは優しくて、困っている人を見ると放っておけない性格だった。

 私はそんな逢伊さんを尊敬しているし、私の憧れでもある。

 みんなが言うような恋愛感情はないけど、私は私なりに逢伊さんを信じているんだ。