恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 でもその時、私の考えを邪魔するように逢伊さんが私の耳を甘噛みしてきた。

「……っ。あ、逢伊、さん……っ。」

「すっごい甘い声出てる。可愛い。」

 逢伊さんはこれでもかってほど甘い声で囁き、私の恥ずかしさは上限を突破している。

 わ、私だって、声が無意識に出ちゃうから……。出したくて、出してるわけじゃない……っ。

 だけど、逢伊さんは意地悪モードだからやめてくれる気配はない。

 何回も耳たぶを甘噛みされ、その度に吐息が当たるから言葉に表せない恥ずかしさに襲われる。

 何でこんな、逢伊さんは急に甘くなっちゃったの……?

 この前までは普通だったのに、ここ最近急変したように甘くなっている気がする。

 もしかして……私の気持ち、逢伊さんにバレちゃってる……?

 そんな一つの可能性が突然頭に浮かんできて、思わず心の中で焦ってしまった。

 ば、バレてたら恥ずかしいどころの話じゃないっ……!

「璃々、大丈夫?」

「ううっ……大丈夫じゃ、ないですっ……。」

 私はもう満身創痍状態で、逢伊さんに小さい声でそう言った。