逢伊さんに抱きしめられると落ち着いて、逢伊さんが悪く言われると嫌な気持ちになる。

 ――私は、逢伊さんが好きなんだ。

 今まで逢伊さんのことは、憧れの先輩くらいにしか思っていなかったけど……今は恋愛対象になっていた。

 もしかしたらゾンビが街に増殖しているから、吊り橋効果ってやつなのかもしれない。

 だけど私は、逢伊さんが好きっ……。

 今の私には逢伊さんに告白できる勇気なんてないけど、いつか告白できたらいいなっ……。

 私は逢伊さんの腕の中でそんな幻想を抱きながら、心臓の音がバレないように必死だった。