恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 逢伊さんのことは尊敬していて、ハンターだった時よくお話していた。

 久しぶりに見た逢伊さんは更にかっこよくなっていて、イケメン具合に拍車がかかっていた。

 だけどすぐにはっと我に返り、慌てて逢伊さんに頭を下げる。

「逢伊さん、助けてくれてありがとうございますっ!」

 きっとさっき、逢伊さんがいなければ私は気絶させられていた。もしかしたらゾンビの食料に……。

 自分で思った考え事にぞっとしながらも、逢伊さんの反応を見る。

 逢伊さんは一瞬だけ固まっていたけど、すぐにふわっと微笑んでくれた。

「ううん、大丈夫だよ。困ってる後輩を助けるのも先輩の仕事だから。」

「逢伊さん……。」

 逢伊さんはいつも優しかったけど、こんな緊急事態でも優しいだなんて……。

 そんな逢伊さんの優しさに感極まっていると、逢伊さんは周りをきょろきょろと見回した。

 まるで、何かに警戒しているみたいに。

 一瞬どうしたんだろうと思ったけど、今周りにはゾンビが大量発生している。

 その事に気付いて、私はやっと我に返った。