恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

「璃々、こっち向いて。」

「……な、何です……っ!」

 逢伊さんに言われるがまま、顔を向けると、その瞬間唇にキスを落とされた。

 ちゅっという可愛らしいリップ音が部屋に響き、私の顔は更に真っ赤になる。

「……なっ……い、今……!」

「さっきの仕返し。俺だけぷにられるのってフェアじゃないでしょ?」

 そう言って逢伊さんは私の瞳を捉えてから、妖艶な笑みを浮かべてきた。

 た、確かにそうだけど……き、キス、じゃなくても私の頬を触るくらいで良かったと思うけど……。

 さっきキスを落とされた箇所から、熱が全身に伝わってくるようだった。

 そんな半ばバタンキュー状態の私を置いて逢伊さんはベッドから降り、部屋を出て行こうと動く。

「先にリビングで待ってるから、着替えできたらおいで。服はそこのテーブルに置いてるから。」

 逢伊さんはそう言って近くのテーブルの上に視線を走らせ、扉を閉めてしまった。

 その途端、私は今までにない脱力感に襲われてしまった。

 キスなんてされたことは初めてで、ましてや唇なんて……。