恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 ぱたんと静かに閉まった扉を見ながら、私は真っ赤になっているだろう頬を触った。

「ううっ……逢伊さん、意地悪だ……。」

 逢伊さんはいつも紳士で爽やかな素敵な男性だと思っていたけど、あんな一面があるとは。

 耳だけは昔から異様に敏感で、少しだけでも反応してしまう。

 ……でも、どうしてだろう。

 ――逢伊さんに触れられてるの、嫌じゃなかった。

 友達とかからそのせいでからかわれたりして嫌だったけど、逢伊さんには……嫌悪感を感じなかった。

 私はさっきからある、心の中のふわふわした気持ちを不思議に感じながらも、逢伊さんがお風呂からあがるまで待っていた。

 逢伊さんからは寝ててもいいと言われたけど、なんとなく待っておきたかった。

 私は早く火照った頬を治すため、急いで手でパタパタとあおいだ。