恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 自分でそう考えて、一人で悲しくなってしまう。

 だけどその時、逢伊さんの明るい声色が私の耳に届いた。

「璃々、すっごい似合ってる。可愛い。」

「え……?ほ、本当ですか……?」

 驚いて顔をばっと上げると、逢伊さんの嬉しそうな笑顔が視界に映った。

 その顔は、本当にそう思ってくれているみたいで……さっきまでの悲しさがどこかへ吹っ飛んでいってしまった。

 本当……?私に、似合ってる……?

 慌てて逢伊さんにそう尋ねてみると、満面の笑みでこんな言葉が返ってきた。

「うん、本当。めちゃくちゃ可愛い。やっぱりこれ選んで正解だったね。……可愛すぎる。」

 最後のほうは声が小さくて聞こえなかったけど、逢伊さんは可愛いって言ってくれた。

 最初は冗談かと思ってしまったけど、そんなことを忘れるくらいこっちも嬉しくなった。

 でもその瞬間、心の中に浮かんでいるある違和感に気付いた。

 私、どうして逢伊さんに可愛いって言われて、こんなに嬉しくなっているんだろう……?

 他の人からも可愛いって言われたことはあったけど、ここまで嬉しくなったことはない。