恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 だけどこれを着なきゃ外に出られなかったから、もうどうにでもなれみたいな気持ちだった。

 い、いざ来てみると、恥ずかしいのは変わらないんだけど……。

 このネグリジェも高級な布が使われていて、委縮してしまう。

 で、でもここで行くのを躊躇ってても、逢伊さんにお風呂あがったってことを伝えられない。

 私はそう思って自分を奮い立たせ、リビングに繋がる扉をゆっくりと開けた。

「あ、逢伊さん……お風呂あがりましたっ……!」

 できるだけ恥ずかしさを押し殺し、そう言い放つ。

 逢伊さんは近くのソファに優雅に座っていて、コーヒーを嗜んでいた。

 や、やっぱり逢伊さんって、ただ座ってるだけでも様になるんだなぁ……。

 流石、イケメンさんっていったところだ。

 だけど私の姿に気付いた逢伊さんは、その手をぴたっと止めてしまった。

 その表情はよく分からない複雑なもので、思わず泣きたくなってしまった。

 逢伊さんの、この反応……。きっと似合ってなかったんだ。

 当たり前、だよね……。こんな可愛いもの、私なんかに似合うわけ……ない。