恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

「そ、そんなことはありませんっ！」

　そんな言い方……まるで逢伊さんは自分のことに自信を持っていないみたい。

　自分を……卑下しているみたい。

　それが何だか嫌で、つい大きな声を出してしまった。

　だけどすぐにはっと我に返って、急いで頭を下げる。

「ご、ごめんなさいっ！うるさくしてしまって……！」

　ご飯を食べている最中なのに、やってしまった……。

　しゅんと肩を落とし、自分のしたことを反省する。

　きっと逢伊さんも、私のこと引いたと思う……。

　でも、逢伊さんはお箸を置いておもむろに立ち上がった。

　そのまま私の目の前に来て、視線を合わせるようにしゃがむ。

　ど、どうしたんだろう……？

　不思議に思ってしまい、思わず首を横に傾げてしまう。

　逢伊さんはそんな私の瞳をしっかりと捉え、ゆっくりと口を開いて言葉を紡ぎだした。

「ありがとね、璃々。俺、実は自分のことを否定する癖があるんだけど……璃々みたいにはっきりとそのことを否定してくれる人なんていなかったんだ。」

　悲しげな、儚げな表情を浮かべて、私から視線を外した逢伊さん。