恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 涼しい顔で何でも卒なく簡単にこなしてしまう逢伊さんが……私は羨ましい。

 自分の気持ちを正直に言って逢伊さんのほうに視線を走らせる。

 あれ……?逢伊さん……?

 私の視線の先には、顔を真っ赤に染めて片手で覆っている逢伊さんの姿が。

 ご飯を食べる手も止まっていて、どうしたんだろうと不安になる。

「逢伊さん、大丈夫ですか……?」

 もしかして疲れで風邪でも引いちゃったんじゃ……!と、心配になってしまう。

 恐る恐る言葉にしてそう聞いてみると、逢伊さんははっと我に返って私に微笑んでくれた。

「何でもないよ。だけど、璃々が俺のことをそう思っていただなんて……意外だった。」

「意外、ですか……?」

 私の何が意外なんだろう……?

 逢伊さんに憧れている人は数知れずだし、逢伊さんを自分のものにしたい人もたくさんいる。

 普通はそう思うと思うけど、どういうことだろう……?

 気になってきょとん顔で尋ねてみる。

 その時、逢伊さんは不敵な笑みを私に向けてきた。

「璃々のほうこそ、ゾンビハンターの女の子の中で一番優秀でしょ?だから、俺のことをそう思っているなんて……びっくりしたんだよ。それに……俺には羨ましらがれるものなんてないよ?」