恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 手料理は家族にしか振る舞ったことがなかったから、そう言われるのは恥ずかしくなってしまう。

 私なんて、家事するしか役に立てなくて、こんなに面倒なのに……逢伊さんは気を遣うのが上手すぎる。

 お世辞だと一瞬思ってしまったけど、私の料理一つで無邪気な笑みを浮かべている逢伊さんを見ると、逆にそう思うのが申し訳なくなってきた。

 ふふっ、口に合ったみたいで良かったっ……。

 逢伊さんにはしっかり疲れを取ってほしいから、スタミナになるものをたくさん使った。

 きちんとバランスも考えて、栄養満点に。

 だから本当に、嬉しそうに食べてくれて……私も嬉しい。

「璃々は何でもできるんだね。俺なんて家事あんまりしないし、上手くもないから羨ましいよ。」

「う、羨ましいだなんて……。私からしたら、逢伊さんのほうが羨ましいです。」

「俺?」

 逢伊さんはきょとんとした様子で私を見つめ返してきて、自分を指さしている。

 私は逢伊さんの言葉に「そうです。」と返して続けた。

「逢伊さんはゾンビハンターの中でもすっごく優秀だし、人付き合いも上手だからみんなから信頼されているし……。私にはできないことをさらっとやってしまう逢伊さんが……羨ましいですっ。」