恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 結局その後は逢伊さんに手伝ってもらって、ご飯をテーブルへと運んだ。

 二人で椅子に座って、手を合わせていただきますをする。

 美味しくできてるかな……?と心配になりながら、私はコンソメスープを口に運んだ。

 ん、いつもと変わらない味。

 お母さん譲りのコンソメスープは、つい懐かしさを思い出してしまう。

 そう言えばお母さん、コンソメスープが得意料理だって言ってたなぁ……。

 料理下手なお母さんがまともに作れるものと言えば、数えられるくらいしかない。

 スープだったりカレーだったり……あはは、思い出したらまた泣きたくなっちゃった。

 さっき逢伊さんに言われたのに、また涙が溢れそうになる。

 こんなに涙脆かったっけ……と思いながらも、下唇を噛んで我慢した。

「璃々、めっちゃ美味しい。こんな美味しい唐揚げ初めて食べた。」

「そ、そんな……言いすぎですよ。」

「言いすぎじゃない、本当に美味しいよ。」

 悲しみに浸りそうになったとき、逢伊さんがそんな言葉を口にした。

 美味しいなんて……私にはもったいない言葉だけど、純粋に嬉しくなった。