恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

 からっと揚がった美味しそうな唐揚げに付け合わせのサラダ、コンソメスープをお皿に盛り付け、テーブルに運ぼうとする。

 だけどその時、キッチン内に逢伊さんが入ってきてふっと頬を緩めた。

「美味しそう。璃々、俺が運ぶから先に座ってて。」

「だ、大丈夫ですよっ……?私、運べますっ!」

 逢伊さんは危険な街に出かけて、いつもゾンビを始末してくれている。

 それに加え、食材を調達してくれているのも逢伊さんだから、そこまでやってもらうのは悪い気がした。

 逢伊さんには申し訳ないなと思いながら、恐る恐る自分の意見を言葉にする。

 するとすぐに、逢伊さんはある提案をしてくれた。

「なら一緒に運ぼう。そのほうが早く終わるし、璃々も心配しなくなるでしょ?」

「!……はい!すぐに運びましょうっ!」

 逢伊さんはやっぱり、こういう人付き合いが得意なんだなぁ……。

 今みたいに自分と相手の意見を汲み取って、どちらにも不満がないような結論を出してくれる。

 本当に、逢伊さんには頭が上がらない。