恐怖と混沌の中、果てしない狂愛に包まれる。

　なのに何で、こんなに増殖しているのか……不思議だ。

　そんな簡単な言葉で片付けられないのは知っているけど、どうしてもそう思ってしまう。

　うーんと、一人でそのことに考えて頭を唸らせる。

　その時、ガチャっと玄関の扉が開く音がした。

「璃々、今帰ったよ。」

　その音と同時に逢伊さんが廊下から姿を見せてくれる。

　私は慌ててその場から立ち上がって、逢伊さんににこっと笑顔を向けた。

「逢伊さん、お疲れ様ですっ！今コーヒー淹れますねっ！逢伊さんは休んでてくださいっ！」

　きっと逢伊さんは疲れているだろう。一人で仕事をしたのなら、尚更。

　私は何にもできなかったから、せめて疲れを取ってあげたいと思いキッチンに向かう。

　逢伊さんは苦いものが好きだから、コーヒー豆から丁寧に挽いたコーヒーを用意する。

　私は甘党だからコーヒーの種類とか、どれが美味しいのかなんて分からないけど……逢伊さんに美味しいって思ってもらえたらいいな。

　素人が淹れたものだから、美味しくできてるか分からないけど……あはは。