真っ暗な道を、小さな懐中電灯を当てながら無我夢中で走る。

 近くからは”奴ら”の声が聞こえるけど、無視を決めて足だけを動かす。

 息をひそめ、”奴ら”にバレないようにこっそりと。

 ……バレたら、一巻の終わりだって思わなきゃ。

 心の中でそう思い、さっきよりも更に警戒を強める。

 少し、様子見したほうが良いかな。

 近くからは”奴ら”の声が聞こえてきていて、それが少し増えている。

 私は近くの物陰に身を隠し、懐中電灯で周りの様子を確認した。

 ……うん、とりあえずいないから大丈夫かな。

 私はふぅ……と息を吐いて、懐中電灯の小さな明かりを消した。

 真っ暗闇の中に同化して、できるだけ音をさせないようにする。

 そんな真っ暗の中、こうやって身を隠しているのは”奴ら”から逃れるため。

 私の名前は白絹璃々(しらきぬりり)。今年、高校生になったばかりの十五歳。

 だけど今、命に関わる危機に直面しています。

 何故かって言うと……私の周りにはたくさんの”ゾンビ”がいるから。