半年の間、海の女神の神殿に留まるアイリーンを独り残し、夕刻にはローズマリーだけが城に帰る事になっている。
 アイリーンとローズマリーは神殿に入ると、直ぐに着替えを始めた。
 ローズマリーは自分の服に着替え、アイリーンは持ち込んだ町娘の服に着替え、ローズマリーのドレスのスカート内に隠しておいた旅支度の荷物を取り出した。
 巫女長に面会するには相応しくないラフな姿だったが、アイリーンは面会すると、これから国を離れて大切な用事を済ませてくるので、その間は、自分が神殿にいることにしておいて欲しいと頼み、更に絶対に面会はローズマリーはとアルフレッド以外には許さないで欲しいと頼んだ。
 巫女長は、日頃のアイリーンの真面目な態度と真摯な姫巫女としての務めをよく理解していたので、何も問うことなくアイリーンの頼みを聞いてくれた。
 その上で、神殿に物資を運び込むために造られた抜け道を教えてくれた。