【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ

「分かる、実際そんな大したことないでしょ。心配されたくてわざと大袈裟に言ってるんじゃない?」




続いた会話の内容に、俺は眉を顰めた。


兎澤の方をチラッと見ると、いつものように縮こまって、俯いている。

俺でもしっかり聞こえるくらいだから、近くにいる兎澤にも聞こえてるんだろう。



その後すぐ、兎澤の話をしていた生徒達はどこかに行ったようで、辺りは静かになった。

けれど入れ替わるように、注意しなければ聞き取れないくらい、小さな泣き声が聞こえてくる。




「ふ、ぅ……っ、泣いちゃ、だめ……っ」




まぁ、そこまではある程度予想できた反応だった。

俺が思ったのは、また保健室に来るんだろうな、ということくらいのもので。




「これくらい、平気……! もっと、頑張らないと……」


「……!」




その後に続いた言葉と、涙を拭って向かった先を見て、俺は兎澤への認識を変えることになった。