こんなやり取りも何回目だ、と思うとまた溜息が出てくる。
確かに俺は愛想が悪い方だろうが、こんなに怯えられると極悪人にでもなった気分だ。
体温計を回収してカーテンを閉めると、兎澤のことは気にせずに、机でベッドの使用記録を書く。
しばらくは静かなものだが、数分と経てば小さな寝息が聞こえてきて、やっと寝付いたか、と今日も時計を見た。
横になってから約7分。
入学当初から思えば、これでも随分マシになった方だ。
寝付きが悪いのは多分俺のせいなんだろうが、兎澤1人の為に保健室を空けて他の生徒の面倒を見れないんじゃ、仕事にならない。
威嚇はしてねぇんだから、ビビらず堂々としてりゃあいいのに。
そう思っても、あの気弱さじゃ無理だろうな、とすぐに諦めが出てくる。