「ここじゃなくて、あんな階段に行くようになったのは、俺がお前に素っ気なくしてたからか?」


「はい……っ」




淡々と質問攻めにされて、ぎゅっと目を瞑る。


せんせぇは、なんでこんなことを聞くの……?




「――……逃がしてやらねぇからな」


「……っ!?」




ゾクゾクとする声が耳元で聞こえた後、唇に何かが触れて顔がカッと熱くなった。




「せん、せ……っ!?」




目を開けると、瞳に溜まった涙がこぼれて、獰猛さが見え隠れしたせんせぇの妖しい笑顔が、くっきりと見えた。


今、わたし……?




「……きっ、きす……?」


「ハッ、ここは学校だぞ。するわけねぇだろ」


「え……? じゃあ、今のは……」




キスじゃなかったと分かって安心したような、少し残念なような気持ちになると、せんせぇは妖しく目を細める。