男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

執務室は2人きりになってしんと鎮まる。

「私にお話しとは?」
サラは話を聞こうとカイルの机に近付く。

カイルはサラが机に置いた紙袋を手に中を覗き見ている。

「あっ、クッキーとチョコです。良かったら、お仕事の合間に食べて下さい。」

「ありがとう。…少し一緒に食べるか?」

夕飯にはあと少し時間があるし、お腹も空いてきたサラは喜んで
「はい。」と、返事をしてお茶の支度をする。

「コーヒーと紅茶どちらにしますか?」
サラが聞く。

「コーヒーで。」
と、答える。

何気ない会話が、カイルのささくれだった気持ちを穏やかにしてくれる。

カイルはさっきまで、サラとルーカスが座っていた2人掛けソファに腰を下ろす。

「竜騎士団の歴史か…。興味があるのか?」

机に置かれた本を取ってパラパラとめくる。

「隣国の事なのに、余りにも私は知らない事ばかりで…ルーカスさんにいろいろ教えてもらってたんです。」

「そうか。
…ルーカスとはすっかり打ち解けたようだな…。」
少し不貞腐れた言い方になったが、仕方がない。

「気さくな方で、とても話しやすいです。
カイル団長はいつもお忙しそうですね。
何か私でもお役に立つ事があるといいのですが…。」