男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

サラが椅子をよいしょと運んで来る。

「俺が持つ。」
カイルは半ば強引に椅子を奪う。
ならばとサラはルーカスを手伝いに机を半分持とうとする。
本当に公爵令嬢なのかと思うほど、ちょこちょこ動き目が離せない。
「だ、大丈夫です。リューク殿、一人で持てますから。
……あっ、あの花瓶を窓際に移してきてくれませんか?」

カイルの目がこちらを睨んでいるのに気付きルーカスは何とか違う仕事を頼む。

カイルはそれで良しと言うように背を向け先を歩き出し、ホッとルーカスは肩を落とす。

「机はそっちに置いてくれ。」

「了解です。」
二人でサラの場所を作り終え、それぞれの仕事に戻る。

サラは急いで戻って来たら既に場所が整っていて、ちょっと不服な目をカイルに向ける。
そんな2人をハラハラしながらルーカスは見守る。


コンコンコンコン

「はい、どうぞ。」
カイルは手紙を書く手を止めず返事をする。

「失礼します。
三班朝礼が始まります。
よろしくお願いします。」
下っ端らしい団員が緊張気味に声をかける。

「分かった。すぐ行く。」
カイルはチラッと入口に立つ男に目をやり声をかける。

「はっ。」
敬礼し、部屋を出て行く。

カイルは手紙を封筒に納め封をした。
「リューク殿、この手紙をルイ殿に届けて欲しい。」

「はい、わかりました。お預かりします。」
丁寧にサラは両手で手紙を貰い、大切そうに胸で抱き締める。

「朝礼に行ってくる。この部屋内なら自由にしててくれていいから。」
そう言ってカイルは部屋を出る。