「…カターナ国王と海賊が裏で繋がっているのか?」
確かにボルテ公爵のボルジーニ領土は貿易が盛んで、海賊船ともしばしいざこざがあったと聞いていたが、
「密偵の話しでは、船は不定期に港に戻って来るらしい。
いつ出航するか分からないが、ボルテ公爵が捕まっていると、港内では密かに噂になっていたと言う。」
「誰かがボルテ公爵が乗って居るのを確認したのか?
密偵はどこまで潜入出来た?」
「密偵が、ボルテ公爵の青い竜の鱗を身に付けた海賊が居ると言う噂を聞き付つけ、その者を見つけ追跡した。
すると今度はボルテ公爵に船で会ったと言う貿易商に会ったらしい。
その貿易商に頼んで明日辺り船に乗るとの事だ。」
「なんと言う貿易商だ?」
「マリア・サラムッドだ。
宝石等の珍しい石を主に取引する貿易商で、カターナ国では珍しい女の当主だ。」
「俺が行くか?」
ショーンが言う。
この国が平和になったとはいえ、団長自ら長らく国を離れるのは危険だ。
「いや、俺が行く。」
「本気か⁉︎
お前がここを長く離れるのは危険だ。国の平和の安定が崩れる。もっと慎重になるべきだ。
リューク殿だって何処かで密偵に狙われているかもしれないんだぞ。」
「俺の価値はそれ程か?他にも騎士団はいる。俺1人居なくても立派に任務は果たせるだろう。」
過剰評価し過ぎだとあきれながらカイルは言う。
ショーンはため息を一つ吐く。
「分かってないな。
お前は今やこの国の守護神だ。
ここにいるだけで民は安心するし、街にでも出てみろ、きっとキャーキャーと女、子供に囲まれるヒーローだぞ。」
「…つい最近まで人っ子1人寄り付かなったはずだが?」
カイルは首を捻る。
「ついこの間山賊を討伐しただろ?村人を助け、守ったのは忘れたか?」
確か…逃げ遅れた子供とその両親を山賊から逃したが、当たり前の事をしただけだ。
「そんなの当たり前だろ。
目の前で助けを求められてほっとくほど鬼ではないぞ。」
「その噂が街で広がってたちまち我らが団長はヒーローだ。」
ろくに街に出ないから世の中の流れに気付かないんだとショーンは思う。
「今なら女抱き放題だぜ。団長さんよ。」
急に軽い感じで話す。
「別に興味ない…。
おい!そんな軽々しい感じで酒場に行くなよ。竜騎士団の品位に関わる…。」
カイルはジロっとショーンを睨み付ける。
「街に行く時は名乗らないから大丈夫だよ…信用ないなぁ。」
仮にもこの男が副団長だと知られたらたちまち評判は根に堕ちるだろうとカイルは思う。



