カイルは自室に戻りベッドに転がり考えた。
リュークが女である事が嬉しいと思う自分がいる。男だと思って居た時でさえ、ふとした瞬間に触れ合うだけで、笑顔を見るだけで、心が乱れた。
女だと分かった今、もはや自分自身が制御不可能では無いだろうか。
心が知らずにサラ殿に奪われる。
こんな事、今まで一度も無かった。
全ては竜騎士団の為に捧げてきた身だ。
時間を惜しみ鍛え上げ、祖国の為国王陛下の為に丹念し、いつか国王の盾になって死ぬ事も厭わないと思い生きてきた。
誰かと心通わせ自分自身が幸せになる事なんてこれっぽっちも望んでないのに。
彼女に誰かが触れただけで心が掻き乱される。
側にいるだけで無意識に触れたくて体が勝手に動いてしまう。
出来ればいつも笑顔でいて欲しいと願う。
涙は俺だけが拭ってあげたい。
ダメだ…
サラ殿は公爵家の生まれ、身分だって釣り合わない。カターナ国は未だ身分制度が色濃く残っている。
我が国はその点寛容で、貴族で無くても働き次第で称号がもらえたり、貴族と平民が結婚する事は今や良くある話しだが。
遠くない未来、サラ殿は国に戻るんだ。
俺の気持ちを押し付けてはいけない。



