「とりあえずこの事は秘密にしておく、幹部だけには折を見て俺から話す。
ここにいる間は昨日と変わらずリューク殿だ。
生きにくいとは思うが……
貴方を匿う為にはこの場所が一番安全なんだ。
国王陛下には直ぐに俺の思い違いだったと伝えておくから心配するな。」
抱きしめられていた腕が緩み、そっとサラは顔を上げる。
カイルの優しい目に見つめられ、顔が火照るのを感じて慌てて腕の中から逃げようと試みる。
「さっきから…
バルコニーでこっちを観てる奴がいる。」
えっ?
と驚きサラはバルコニーの方を向くと、ブルーノが心配そうにこちらを伺っていた。
「女であるサラ殿が何故、ブルーノに乗れるんだ?」
ブルーノを見ながらカイルが問う。
「分かりません…
代々竜は直系の嫡男に受け継ぐ事のように思われがちですが、必ずしもそうではなく竜が決めた乗り手がその家を継ぐ事になっています。
時に従兄弟だったり、家臣だったりもするようです。ちなみに父は三男なんです。」
「その場合、嫡男や次男はどうなるのだ?」
「分家したり、他の貴族の養子になったりします。」
「ボルテ公爵のご兄弟は何をしている?」
「次男は分家して領地内に住んでいます。
嫡男は養子となって他の地で領主となっているそうですが、一度も会った事がないので詳しくは分からないです…」
「そうか。
そこら辺も調べてみる必要がありそうだな。
ともかく、今夜はもう遅い。
早く寝て疲れを取ってくれ。…おやすみ…」
そう言ってカイルはサラの頭を優しくポンポンと撫でてから部屋を去って行った。



