男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される


「少し話してもいいか?」

真剣な眼差しは、もしや父の事で進展があったのではと思う。
「どうぞ中に入って下さい」と招き入れる。

「悪いな。もう寝る所だったのだろう?」
申し訳なさそうにカイルは言う。

「いえ、聞かずに寝ても眠れないだけですから、どうぞ座って下さい。」
カイルは2人掛けのソファに座る。

「何が紅茶かハーブティーでも飲まれますか?」

「いや、すぐに帰るから大丈夫だ。」

サラは向かいの1人掛けソファに座り、話を聞く。

「ブルーノの鱗だが、密偵の報告では全ての宝石商、質屋、貴金属店を当たったが城下町のどこからも出て来なかった。

既に国外に流されたか、ボルテ公爵を貶めた黒幕が自ら身に付けている可能性もある。」

「誰か、ボルテ公爵に恨みや妬みを持っていた人物はいなかったか?」

サラは考える。父は温厚で誰かに恨みをかうような人では無かった。

でも、家事や山火事で国王から褒美や勲章をもらう事に誰か妬んでいる人物は居なかっただろうか?

「…あの1人だけ父が捕まった時、父の無二の親友だと思っていた隣町の領主リチャード・ガーデナー公爵様が、父に不利な証言をしたと聞きました。」

「ボルジーニの隣町は確かコーラルだったか?そことも我が国は貿易しているが、取引でコーラルの領主に会った事はないな。」

普段から、外国の要人や取引で訪れる人の警護を担う竜騎士団は隣国の領主にもそこそこ面識がある。

「今日、国王とも会って正式にボルテ公爵の救出を任命されたから公に動けるようになった。
3ヶ月後にある晩餐会にリューク殿も是非にと国王殿下からお誘いがあった。
その時はすまないが一緒に参加してくれ。」

「晩餐会なんて参加した事が無いです…。」

「衣装はこちらで用意するから大丈夫だ。
それまでにどうにかボルテ公爵を助け出せればいいのだが。」

「そんなに、早く父を救出出来るとお考えですか⁉︎」
サラは半年以上かかるだろうと思っていたのにカイルは3ヶ月以内と思っている事にびっくりする。

「ブルーノの鱗の捜索と同時にコーラルの領主リチャード公爵を探る。どちらかから有力な証言が出るはずだ。
必要ならば、俺か副団長が向こうに渡ることも考えている。」

「お忙しいのに、ありがとうございます。
僕も何かお手伝い出来る事があったら言ってください。」

「リューク殿はいる事に意味があるのだ。
ここに貴方がいるだけで既に意味は成している。
夜遅くに悪かったな、おやすみ」

と言って、カイルは立ち上がり部屋を出て行こうとする。