男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

部屋に戻ったサラは何事も無かったかのように、シャワーを浴びて寝支度をする。

その間も、ふとした瞬間に屈託なく笑うカイルの顔を思い出しては赤面してしまう。

何事も無かった事にしたかった…。

触れた身体の逞しい感触や握られた手の大きさや、全てにおいて忘れる筈がない。

初めて知った胸の高鳴りはしばらく収まることが無く、この夜はなかなか寝付く事が出来なかった。


カイルも自室に戻りやり残した書類に目を通しながら、先程の楽しいひと時を思い出し思わず笑顔になる。

久々に団長と言う肩書きを外してハクに乗ったなと自分でも思っていた。

リューク殿が純粋で素直な人だからなのか、立場を忘れてはしゃいでしまった気がする。

昔の自分が重なったのか、それとも彼の笑顔に魅せられたのか、自分でもよく分からない高揚感で気付けば素の自分で接してしまっていた。

竜が好きでハクに乗る事に夢中になっていた少年時代、騎士団に入ってから忘れていた純粋にハクと共に行きたかったあの頃の気持ちを思い出した。

リューク殿は不思議な人だ。

一緒にいると気持ちが癒される。
触れるだけで幸せな気持ちになる。
男色の気などまったく無いのに…。

なぜこんなにも目を奪われ心がかき乱れるのか。自分でも戸惑う。

悲しい顔をされるとこっちまで心が痛むし、
彼にはずっと笑って過ごして欲しい。

その為にも早くボルテ公爵を見つけ出さなければならない。
カイルは強く決意する。