男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される



俺は戦ばかりの毎日で、より人に忠実で言う事を聞くような竜を育てようとしてしまっていた。

本来、竜は自由な生き物なのに。 

さっきのリュークの言葉で、まるで目が覚めたかのように本当にやりたかった事を思い出した。

ハクとの関係もどこか、押さえ付けるようになっていたのかも知れない。
自由でいいのだ。

対等な関係でなければ長く一緒には居られない。今までの育て方は間違っていたのかも知れない。

「リューク殿、ありがとう。今やっと気付いた。
我々は竜をより忠実で言う事を聞く乗り物にしようと育てていた。

それは間違いだった。
これからは兵士を育てるように、竜を育てなければ、自分で判断し自由に生きられるように。」

サラは生意気な事を言ってしまったと、内心焦っていたのにお礼を言われてキョトンとする。

「でも、ハクは自由に生きてるみたいですよ。自分で判断して言う事を聞く時と、今みたいに自由に飛び回る時をちゃんと見極めて決めていますから。」
微笑みながらサラは言う。

「確かに、協調性が無くてケンカばっかりするハクが、決して群れない竜の本来の姿なのかも知れないな。」

「我が国には竜を操る騎士団はありません。
自由気ままな竜が1つにまとまるなんてあり得ないからです。
でも、カイル殿はそれをやってのけた。
それは素晴らしい功績だと僕は思います。」

「そう言ってくれると幾分ホッとするよ。」

竜本来の姿を崩さず、竜を操るのはこれからは命令では無く、お願いにしようとカイルは心に決める。