「よし、食後の運動にちょっと飛んでみるかハク。リューク殿一緒に乗ってみるか?」
不意にカイルはそう言って、サラを楽しげな目で見てきた。
「ぼ、僕の事を乗せてくれるでしょうか?」
「ハクがこんなに懐いているんだ。大丈夫だろう。」
そう言ってカイルはハクに鞍を乗せ、ヒラリと軽々背に飛び乗った。
それを下からサラはぼーっと見惚れていた。
「リューク殿、手を」
差し出された手におもむろに自分の手を重ねると、ぎゅっと掴まれ引き上げられてあっという間にカイルの後ろに乗っていた。
「あ、ありがとうございます…」
恥ずかしさのあまり俯きながらサラは言う。
「ここにいる間に、鞍に1人で乗れるようになれるといいな。」
「ごもっともです…。」
サラが俯いたまま返事をする。
「大丈夫だ。
俺もガキの頃、女みたいだって馬鹿にされていた。だから人一倍努力して、気付けばここまで昇り詰めた。
リューク殿はこれからだ。まだまだ何にだってなれるし、鍛えれば強くなれる。」
サラの頭を優しく撫でながら言う。
「僕もカイル団長みたいに強くなれますか?」
「ここまで1人で来れたんだ。もう既に強くなってるじゃないか。
よし、しっかり捕まってろ、飛ぶぞ。」
職務中とは違う笑顔でカイルが少年のように笑う。
つ、捕まるってどこにカイル団長の背中⁉︎
ムリムリ…女だってバレちゃう。
サラが遠慮がちに背中の服を掴んでいると、両腕を掴まて引っ張られ、カイルの腰に手を回す格好になってしまう。
慌てて離れようとしたが、グィーンと前に引っ張っられる感覚がして、ハクは加速を上げ外へと飛び出す。
その後をブルーノがついてくる。
瞬間、サラは叫びそうになるのをなんとか堪えて目をぎゅっとつむる。
「もう大丈夫だ。」
カイルの声に目をそっと開くと、
キラキラ瞬く満天の星に三日月が輝く。
「綺麗…。」
「今夜は特に空気が澄んでるから星が綺麗だ。」
カイルも優しい笑顔で話す。
どこが鬼団長何だろうとサラは思いながら笑い返す。
「夜に飛ぶのって気持ちいいんですね。
今まで、夜の飛行は怖いとばかり思っていて周りの景色を楽しむ余裕なんて無かったです…。」
「良かったな。
これからは夜も恐れず飛べるだろう。」
どこまでもカイルは優しく穏やかで、屈託なく笑う笑顔が少年みたいで眩しい。
ふと、亡くなった兄の事を思い出す。
あんなところで死んではいけない人だった。
とても頼りになって優しい兄だった。
いつもにこやかに笑っていた。
いずれは父の跡を継ぎ、強く優しい統治者になるべき人だったのに……。
涙がでそうになる。
唇をぎゅっと結び、冷静になろうと試みる。
「…家族が恋しいか?」
カイルが静かに話しかける。
「いえ。あまりに綺麗な夜景で感動しただけです…」
きっと、強がりだって分かるだろうけど、強くありたいと無理をして微笑む。
「…そうか。
こんな景色ならいつでも見せてやる。」
「ありがとうございます。」
不意にカイルはそう言って、サラを楽しげな目で見てきた。
「ぼ、僕の事を乗せてくれるでしょうか?」
「ハクがこんなに懐いているんだ。大丈夫だろう。」
そう言ってカイルはハクに鞍を乗せ、ヒラリと軽々背に飛び乗った。
それを下からサラはぼーっと見惚れていた。
「リューク殿、手を」
差し出された手におもむろに自分の手を重ねると、ぎゅっと掴まれ引き上げられてあっという間にカイルの後ろに乗っていた。
「あ、ありがとうございます…」
恥ずかしさのあまり俯きながらサラは言う。
「ここにいる間に、鞍に1人で乗れるようになれるといいな。」
「ごもっともです…。」
サラが俯いたまま返事をする。
「大丈夫だ。
俺もガキの頃、女みたいだって馬鹿にされていた。だから人一倍努力して、気付けばここまで昇り詰めた。
リューク殿はこれからだ。まだまだ何にだってなれるし、鍛えれば強くなれる。」
サラの頭を優しく撫でながら言う。
「僕もカイル団長みたいに強くなれますか?」
「ここまで1人で来れたんだ。もう既に強くなってるじゃないか。
よし、しっかり捕まってろ、飛ぶぞ。」
職務中とは違う笑顔でカイルが少年のように笑う。
つ、捕まるってどこにカイル団長の背中⁉︎
ムリムリ…女だってバレちゃう。
サラが遠慮がちに背中の服を掴んでいると、両腕を掴まて引っ張られ、カイルの腰に手を回す格好になってしまう。
慌てて離れようとしたが、グィーンと前に引っ張っられる感覚がして、ハクは加速を上げ外へと飛び出す。
その後をブルーノがついてくる。
瞬間、サラは叫びそうになるのをなんとか堪えて目をぎゅっとつむる。
「もう大丈夫だ。」
カイルの声に目をそっと開くと、
キラキラ瞬く満天の星に三日月が輝く。
「綺麗…。」
「今夜は特に空気が澄んでるから星が綺麗だ。」
カイルも優しい笑顔で話す。
どこが鬼団長何だろうとサラは思いながら笑い返す。
「夜に飛ぶのって気持ちいいんですね。
今まで、夜の飛行は怖いとばかり思っていて周りの景色を楽しむ余裕なんて無かったです…。」
「良かったな。
これからは夜も恐れず飛べるだろう。」
どこまでもカイルは優しく穏やかで、屈託なく笑う笑顔が少年みたいで眩しい。
ふと、亡くなった兄の事を思い出す。
あんなところで死んではいけない人だった。
とても頼りになって優しい兄だった。
いつもにこやかに笑っていた。
いずれは父の跡を継ぎ、強く優しい統治者になるべき人だったのに……。
涙がでそうになる。
唇をぎゅっと結び、冷静になろうと試みる。
「…家族が恋しいか?」
カイルが静かに話しかける。
「いえ。あまりに綺麗な夜景で感動しただけです…」
きっと、強がりだって分かるだろうけど、強くありたいと無理をして微笑む。
「…そうか。
こんな景色ならいつでも見せてやる。」
「ありがとうございます。」



