しばらく休んでいると
コンコンコン
とノックの音がして、返事をしてドアを開けると、軍服を脱いで軽装になったカイルがいた。
カイルのプライベートを垣間見た様な気がして何故がドキドキと心が騒がしい。
「今からハクの所に行くが、着いて来るか?」
忙しい1日だったはずなのに、私とのちょっとしたら約束も忘れずに声をかけてくれる。
この方はきっと女性にもモテるだろうな。
立ち振る舞いも堂々とした話し方も人を惹きつけるこの眼差しも、きっと身分差を通り越してたくさんの女性が寄って来るに違いない。
「疲れている様なら、またにするか?」
「あっ、いえ、行きたいです。」
夜の庭を2人歩く。
サラはあえてカイルの一歩後ろを歩く。
月明かりに照らされたカイルの前髪が揺れて綺麗だなぁと、ぼんやり思う。
昼間と違い静かで人の気配も無く、虫の音だけが辺りに響く。
「寂しいか?」
不意にカイルが立ち止まり振り向く。
「えっ?いえ大丈夫です。
三年前に父が突然連れて行かれ、生活ががらりと変わりました。
あれから1人でいる事には慣れました。」
「公爵家で生まれた者が、1人で共も付けず良く来たな。」
子供だと思って心配してくれてるのだろうか?
どこまでも優しい方だと思う。



