男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される


そのタイミングで、バサバサっと外から音がして部屋が暗くなる。皆何事かと一斉に外を見る。
「あっ、ブルーノ。」
見ればバルコニーにブルーノが舞い降りてこちらを伺っていた。

「ブルーノが、挨拶をしたい様です。」
サラは言い、バルコニーの窓に向かう。
一足早くカイルが窓を開け、ブルーノが窓から顔を覗かす。

「ブルーノには狭過ぎるな。」
背を曲げ部屋の中まで入ろうとするブルーノに部屋中、笑いが起きる。

「ブルーノは父が連れ去られる時、最後まで一緒にいました。しばらく父の後を追った様ですが、1週間程経って大怪我を負いながら帰って来ました。」

「ブルーノ尻尾を皆んなに見せてあげて。」
サラが言うとくるりと向きを変え尻尾を窓から中に差し込む。」

「これは…。鱗を剥がされたのか⁉︎」
カイルは尻尾の先を見つめ白い皮膚が見える場所を見つめる。

皆も駆け寄り可哀想にと憐れむ。

「ニ年かけてやっとここまで回復しましたが、帰って来た時は尻尾の半分くらいが剥がされた状態でした。
竜の鱗は高く売れるので装飾品などに加工されたのでは無いかと…。」

「鱗から何かしら犯人まで辿り着けるかも知れない。」
カイルが言う。

「副団長、密偵に至急連絡を。
青い鱗はブルーノ以外いないはず。
王都周辺の装飾品店全て当たらせろ。」

「了解!!
必要なら人数を増やして捜査します。」
そう言って、副団長は敬礼し足早に部屋を出て行った。