男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

「半分以上は貴族出身だ。

元々家竜が主流の隊だったが、俺が入隊してから平民が竜を育てて自分の竜にする事が認められ、徐々に増えた。」

「カイル竜騎士団長殿が革命を起こしたのですね!」
先程から向けられるサラの尊敬の眼差しに慣れず、カイルはこそばゆい。

「いや…、革命を起こしたのは国王陛下だ。

心広き陛下が俺の存在を認めてくれたから、今の地位があるに過ぎない。
俺はただ、竜と共に在りたいと思っている。」

「僕も、竜が好きです。
入隊させて下さいとは言えません。
何か僕に、お手伝い出来る事はありませんか?」

「次期公爵に成られる方にこんな所で働かす訳にはいかない。

戦になればこの隊は最前線で戦う事になる。
あくまで貴方は客人として扱わせて頂きたい。」
カイルは静かに諭す。

「それが、リューク殿がここに来た本当の目的か?」
カイルは再度問う。

サラは戸惑う。

出会って数分で父を助けて欲しいだなんておこがましく言っていいのだろうか?
彼の地位や人生すべて、もしかしたら大きく巻き込んでしまうかも知れない。

少し沈黙し考え混む。
そして意を決して、

「…父を助け出したいんです。」
小さく、しかしはっきりと決意をサラは述べる。

「分かった、幹部を招集する。
俺に着いて来て。」

カイルはその一言が聞きたかった。

踵を返し堂々とした足取りで建物に向かうカイルの後ろを急いでサラは追う。

「ブルーノ、好きにしていていいよ。後でまた果物たくさんあげるね。」
サラは離れ際に、そうブルーノに伝える。