ドォーーン!!!!

再度音が鳴り、バラバラと火の粉が落ちてくる。

「皆、無事か⁉︎」
煙で辺りが真っ白となり、サラ以外何も見えない。
「ゴホッゴホッ…。」
煙で咳込む。 

「サラ⁉︎サラ、大丈夫か⁉︎」
腕の中のサラに呼びかける。
「…はい。大丈夫です……皆は?」


「全員号令!!」
カイルが叫ぶと、近くから
「…1」と叫ぶ声がする。
徐々に…2、…3、と聞こえ、最後15まで号令が聞こえた。

「皆、無事だ…。」
カイルはここでやっと安堵のため息を吐き、サラを抱いたまま芝生に寝転ぶ。

「カ、カイル様⁉︎大丈夫ですか⁉︎」
サラがびっくりして、抱かれたまま顔だけ起こし、カイルの顔を覗き込む。

「……大丈夫だ。……さすがに疲れた…。」 
そう言って、サラの頭に手を回し唇にキスをした。

「…あっ……んっ…。」
サラは長いキスに翻弄される。ぺろっと唇を舐められたかと思うと、舌まで差し込まれ、びっくりしてカイルの胸を軽く押すが、なかなか離してくれない。

やっと唇が解放されて、息を乱しながらカイルに小声で抗議する。
「ちょっ、ちょっとやり過ぎです…団員に見られちゃいます。」

「しばらく煙で何も見えない。」
そう言って、また唇を奪う。

「カ、カイル様…早く撤収を…、また爆破したら大変…。敵が逃げちゃったら…」

「大丈夫だ、うちの団員はそんなにヘマじゃ無い。」
そう言って満面の笑顔をむける。

突然空から突風が吹いて、煙がサッと吹き飛ぶ。
空を見上げると、ブルーノが燃える建物に水を噴きかけ火がこちら側になびくのを食い止めていた。

「ブルーノ無事だったのね。良かったぁ。」
空を見上げてサラは涙ぐむ。

意識を失う瞬間、ブルーノとハクが黒い竜に向かうのが目に入った。
ハクもぐるぐると飛び回り、羽で風を巻き起こし、煙がこちらに来るのを防いでくれている。

あの、黒い竜は⁉︎と周りを見回すと、羽から血を流して横たわっている大きな黒い固まりがある。

サラはおぼつかない足で立ち上がり、フラフラと竜に近づと、持っていた瓶の中の聖水を全て竜の傷ついた羽にかけてあげた。

カイルもサラに手伝い、傷付いた竜の為に聖水を口に流してやる。

「お前はもう自由だ、新しい主人を見つけてもいいし、好きに生きるといい。」
そう、カイルは竜にいい聞かせる。


「よし、撤収するぞ!」

「はっ!!」

カイルはサラを横抱きに抱いて歩き出す。

「もう、大丈夫です…歩けますから。」
サラは恥ずかしくて俯きそっとカイルに言う。
「俺が大丈夫じゃ無い、もう二度と離さないからな。」

サラに真剣な眼差しを投げかけられる。
「心配かけてごめんなさい。助けに来てくれてありがとうございます。」

「サラのせいじゃないから謝るな。
ただ、今は触れていないと不安でしょうがない。」