男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

「あっ!ブルーノがいました!!」
数人の兵が駆け寄って来た。

「カイル団長!おはようございます。」
敬礼をして挨拶をする。

「朝から、そう言うのは要らない。」
カイルは軽くそう言って、サラが馬車から下りるのを手伝う。

「ブルーノとハクの餌は与えるから、お前達は他の厩舎の世話をしてくれ。」

「かしこまりました。
厩舎の扉が吹き飛ばされてて…後で修理が来る予定ですが、ハクも居なくなっていまして…。」

「大丈夫だ、笛で呼ぶから。
まったく、自由な竜達だ。」
カイルははぁーとワザとらしくため息を吐いて、笛でハクを呼ぶ。

空の高い所から急降下でザーーっと白い竜が降りて来る。

カイルは咄嗟に、突風のように吹き荒れる風に飛ばされない様サラを守る。

「ったく、なんでいつも普通に降りてこられないんだ。」
カイルは羽を折り畳むハクを睨み付け、呆れ顔で言う。

ブルーノはハクの突風から逃げる様に、空を旋回してから少し離れた場所にフワァーと舞い降りた。