男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

カイルは一歩下がり、姿勢を正してサラに向けて臣下の礼をする。

「もちろんです。
ボルテ公爵が外交官をしていた頃、何度か話しをさせて頂きました。」

カイルが急に敬語で言葉を正したので、初めの砕けた感じの方が良かったのに…と、サラは少し寂しく思う。

「そ、そうだったんですね…。その節は父がお世話になりました。」
普段、貴族男子がする様にサラも胸に手を当てて頭を下げる。

「いや、むしろ良くしてもらったのは俺のほうです。
どうぞ中に入って下さい。ぜひ話しを伺いたいです。」

門兵に目配せして扉を開けさせる。

顔面蒼白の門兵はこれ以上失敗は許され無いと、慌てて扉を開け敬礼をする。