し、心臓がもたない、、

サラは部屋に入って思わず床にしゃがみ込む。本気を出したカイルに誰も勝てるはずが無い。

胸がドキドキと苦しい。
明日、私は大丈夫だろうか?平常心でいられる気がしない。カイル団長の隣で婚約者としてちゃんと役割を果たせられるのか心配になる。

ベッドに入ってもなかなか眠れず、寝返りを何度も打つ。

バサァ バサァ と外から羽音が聞こえる。
バルコニーを覗くと、月明かりに照らされてキラキラと煌めく青いウロコがみえる。

「ブルーノ!どうしたの?
ここは城内なんだら、勝手に厩舎から出て来ちゃダメよ。」

サラ、急いで窓を開けブルーノに駆け寄る。
夜風は冷たく身震いするほどだった。

「外で寝るの?今夜は寒いけど大丈夫?」

ブルーノは鼻先をサラに押し付け甘えるような仕草をする。

「そういえば、雪の中も平気なくらいだったわね。」
サラがよしよしと鼻先を撫でてあげると嬉しそうに目を細めた。

「もう、寝なくちゃ明日に差し支えちゃうわ。」

また明日ね。と、ブルーノの首に抱きついてお休みをする。

どうやら、ブルーノはこのバルコニーで寝るらしく、丸くなって寝る体勢に入る。

カイルの邸宅に移動してからはちゃんと厩舎で寝てたのに、ブルーノも何か察しているのかも知れないとサラは思った。

ブルーノが近くにいてくれる事でサラも気持ちが落ち着いて、やっと眠りにつく事が出来た。