男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される


「申し訳なかったな、少年。大丈夫だったか?」
カイルはサラの傾きかけた体勢を直し、支えていた腕を離す。
そしてサラの顔色を伺う様に覗きこむ。

カイルと目が合ってハッとする。

背はサラより頭一個分以上高かったが、
想像していた強面とは全く違った。

黒いサラサラの髪に、鋭い目はアーモンド型瞳の色は漆黒、すーっと通った鼻筋に引き締まった薄い唇は精悍さを与え、見惚れるほど綺麗な顔をしていた。
思わずサラはボーッと見惚れてしまう。

「…少年、大丈夫か?」
再度、カイルは問う。

あっ⁉︎少年って私の事だ!
認識して慌てて帽子を取り頭を深く下げて言う。
「始めまして、ぼ、僕はリューク・サラマンドラと申します。突然お伺いして申し訳けありません。」

「いや、問題無い。」
先程とは打って変わって優しい声でカイルは答える。

「…リューク・サラマンドラ?
もしかして…、
ボルテ・サラマンドラ公爵様の嫡男か?」

「は、はい。父を覚えてらっしゃいますか?」