「この際、経歴三年程の若い団員は皆、他の駐屯地に回せないか?」
細かい作業が苦手なショーンはそう言って既に仕事の手が止まっている。
「そう言えば、ルーカスの父親だが、体調が思わしくないらしい。
サラが元気になってくれたらすぐにでも聖水を分けてもらえないか聞けるのだが。」
「お前の一存で決められないのか?
助けてやりたいんだろ?」
「聖水はサラの物だ、勝手に使う訳にはいかない。」
「さすが堅い男だな。
それならそれを踏まえて会いに行ってこればいいじゃないか。俺だったら直ぐにそうする。何を遠慮してるんだ?」
「ボルテ公爵の体調が思わし無い今、勝手に会うのは気が引ける。」
「迅速かつ巧みな作戦で、今まで勝戦をして来た男が何言ってる。
本当、自分の事となると慎重過ぎて笑えるよ。」
「はっ⁉︎
駄目に決まってるだろ。
病で伏せってるんだぞ、そんな姿簡単に見せられるか。」
「それが本音か。」
「俺じゃ無い…、身内だったらそう思うだろ?普通。」
「嫁入り前の大事な娘だしなぁ。ちょっとルイ殿に声かけてみるかな?」
ショーンはヒョイとソファから立ち上がり部屋を出て行こうとする。
「おい!!仕事を放棄するな。」
「お見舞いだって立派な仕事だ。
俺に任せろ、ルーカスの事もついでに言ってきてやるから。」
「辞めろ、お前に任せて良かった事は一度も無い。
勝手に面白がってかき混ぜるだけだろ?俺が行くから!!」
急いでショーンの肩を掴み止める。
「お前が行くんなら任せるわ。」
ショーンはあっけなく引いてまたソファに座る。
「…計ったな。」
ギロっとカイルはショーンを睨む。
「お前は自分の事になると、いろいろ考え過ぎてまったく動かなくなる。
悪い癖だぞ。
その間に大切な物を他人に奪われるハメになるんだ。」



