男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

コンコンコン

夜中の廊下に響き渡る。

中からルイがそっとドアを開けて中に入れてくれた。

「私は、今夜はこれで失礼します。
ご家族で募る話しもあるかと思いますので。」
カイルは部屋に入る事なくそう言って、一礼し去って行ってしまった。

「姫…、その格好何ですか…。」

「だって、パジャマは兄のお下がりしか無くて…。」

「仮にも嫁入り前の娘が…子供じゃあるまいしはしたないとは思いませんか?」

「カイル団長にも言われたので…もういいです。ごめんなさい。」
怒られるのは覚悟の上だったが、いざ言われるとムスッとしてしまう。

「それより、お父様はどうですか?
もう寝てしまいましたか?」

「先程、聖水を一杯飲んで頂き今は休まれています。ご気分もいくらか良くなった様で顔色に血の気が戻ってきました。」

ベッドに案内され、恐る恐る父の顔を覗く。
痩せ細ってしまった父は昔の面影も無い…。

サラの目から涙が零れ落ちる。

「姫、公爵様はこんなお姿になってしまいましたが生きていて下さった。それだけで充分だとは思いませんか。」
ルイもサラの涙を見てもらい泣きしてしまっていた。

「そうね。明日からいっぱい美味しい物を食べて頂いたらきっと、すぐ元気になるわ。」

「さぁ。姫を長旅疲れているでしょう。
早く寝て下さい。」

ルイに促されて隣の部屋のベッドに追い込まれる。

長い一日が終わった。

父もカイルも生きていてくれた。
それだけで良かったと思う。もうこれ以上何も望まない。
後はルーカスの事…考えなくちゃいけない事は山ほどあるけど…。

温かい布団の中でサラはやっと眠りに着いた。