男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

「早く食べて、ボルテ公爵殿の所に行くぞ。
貴賓室はいくつも部屋があるし、風呂も付いてるから、今日からそこで休むといい。」

「そんな大切な部屋を父の為にありがとうございます。」

「国王陛下が来た時ぐらいしか使わないから大丈夫だ。」

いつまでも、ここにお世話になってる訳にはいかないとサラは思う。

カイルも察したのか、
「まだ、敵も誰か分からない、ここが1番安全なんだ。
長く居てくれて構わないし、気にしなくていい。」

「なんだか申し訳ないです。」

「それに、敵はサラの聖水の効果に気付いている。これ程までに癒しの力がある聖水を、手に入れたいと躍起になるだろう。

その場所を知るのは、サラとブルーノだけだ。これからは今まで以上に気を付けて行動しなくちゃならない。」

「…なぜ、気付かれたんですか?」

「誰かに尾けられたり、不審な人物に会ったりしなかったか?」

「帰って来る時に、赤い竜が飛んでいるのを見ました。ボルジーニ辺りの上空です。
雨なのに珍しいなと思って。」

「尾けられたか?」
カイルは眉間に皺を寄せ聞いてくる。

「いえ、雲の上を飛んだので。
カイル団長が前に教えてくれた景色を見てみたくなって。」
気丈に笑うサラを食い入る様に見てカイルは言う。
「怖かったな。良く、無事に帰って来てくれた。」
頭を優しく撫でてくれる。

「もう、今日は泣きませんよ。」
気持ちを吹っ切る様に立ち上がってサラは言う。
「…近くにスパイが居たんですね…
それは…。」

「今夜はもう遅い、貴賓室まで送るから食べたら行くぞ。」