「ボルジーニはこの二年で変わってしまいました。ボルテ公爵様が統治していた時は本当に住みやすく良い街でした。
…今は重税が課されて商売もやりにくくなって、お店を畳んで他の街に移り住む人もいるくらいです。」
涙を流しながらマーラは話してくれる。
「…そうだったの…皆んな大変な思いをしてるのね…」
「それに、夜は海賊やらガラの悪い男達もやって来るようになって…怖くて…
お嬢様も今夜は是非ともここに泊まって行って下さいね。」
「ありがとうマーラ…
まさかそこまで荒れてしまっていたなんて…心が痛いわ…。」
「それに今の統治者は疑い深くて、密偵を
使って少しでも悪口や批判をしている者がいると牢屋に入れて拷問されるんです。」
「な、なんて怖い事を……。」
サラは両手で顔を隠して俯く。
「サラ様、街の者たちは皆、あんなに優しくて穏やかなボルテ公爵様が、国王を暗殺しようとしただなんて、誰一人として信じていません。どうか、早く無実を証明出来る事を祈っています。」
「…そうね。早くお父様を助け出さなくちゃ。誰が言われのない罪をお父様になすりつけたのか、その事で誰が今、至福を肥やしているかを探り出さなくては…。
落ち込んでるばかりではいけないわ。」
「そうです。ボルテ様を助け出さなくてはなりません。何かお嬢様を助けられる事があったら、何なりと私達に言って下さい。
皆、お嬢様の味方です!!」
「ありがとう心強いわ。」
「さぁ。まずは暖かいシチューをお召し上がり下さいな。」
久しぶりに食べたマーラの味は本当に美味しくて、サラは沢山お替わりをした。



