「…とりあえず
濡れた体をどうにかしてから執務室に行く。お前も風呂に入って傷口の手当を。」

「ああ…。」
言葉少なに去っていく後ろ姿を見送る。

ショーンは思う。

側から見ても分かるくらい、カイルはリュークをいや、サラ嬢を気にかけていた。

心を許す程になっていただろうと、友として感じていた。 
女子と分かった時、やっぱりと思う気持ちと、良かったなと思う気持ちでからかいもした。

あの男にはもはや、サラ嬢は必要不可欠な存在だ。片思いだろうが何だろうが…友として一大事だ。

しかもデマが流れている。

この、集団力と団結力に満ちた竜騎士団に密偵が入り込んでいたのか?

今回の襲撃が海賊側に漏れていた事、デマを撒き散らし団員に不安を煽った人物。
幹部に近い人間でしか判り得ない情報だ。

まさかルーカスが…。

ショーンはいつに無く急ぐ。
ザラつく気持ちを抑え、真夜中だろうと構わず、部下を起こしルーカスの捜査を命じる。五班だけには任せておけない。シャワーを浴びに部屋へ戻る。