男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

「どうした、なぜ脱出しない?」

「それが、ボルテ公爵の体調が思わしく無く…」

カイルは急ぎ、ボルテ公爵が寝ているベッドに歩み寄る。
ルイが賢明に呼びかけている。
「ボルテ様!目をお開け下さい。」

「何が…」
話しかける手前でカイルは気付く。
薬か?この匂い…
香ばしい様な花の香りの様な…
「薬を嗅がされていた様で、目が虚ろ焦点が合わない様子です。」

なんて事だとカイルは顔をしかめるが、サラから預かった小瓶を取り出す。
「これを、ボルテ公爵に飲ませて下さい。
少量だが、幾分体調も戻るかもしれないので。」

傷口を癒す効果はこの目で見たが、飲んで体の中から治せるとは聞いていない為一か八かだ。
ルイはすかさず、ボルテ公爵の口に流し込む。
しばらく、様子を見守る。

ドンッ!!

衝撃で船が揺れる。

副団長率いる竜騎士団が降り立った合図だ。

急ぎ脱出をしなければ。
「顔色が幾分取り戻しました。
ボルテ公爵分かりますか?ルイです!
カイル団長と助けに来ました!!
後、少しの辛抱です!」

「…ルイか?…カイル騎士団長…。」
呟くほどの小さな声だが、先程よりは正気に戻ったようだ。

「ボルテ公爵様、今から脱出します。
私が抱えて行きますので、しばし辛抱を。」
そう素早く言い,カイルはボルテ公爵の体を抱え上げる。

「行くぞ。」
密偵に小さく合図をして、部屋を出る。
前方を密偵、後方をルイが守り慎重に先を急ぐ。