男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

上手く引き付けられただろうか。

しかし、昨日決めた今夜の作戦が何故漏れたんだ?身近にスパイが居るのか?
頭の片隅で考え、とりあえず終わってからだと思い直す。


船の影に小舟が見えた。人は居ない。
上手く乗り込めた様だ。

さて、どこから飛び込むかとカイルは空高く旋回しながら船の様子を伺う。

今までなら正面突破、1人でも戦力外にする為迷わず人の多い所へ飛び込んだだろう。

しかし、先程のルイとの話が頭をよぎる。

サラの顔がチラつき、カイルは心を落ち着ける。
火の手の回っていない裏だ。
海賊達は火消しに躍起になっている。今のうちに忍び込めそうだ。

瞬時に判断し、ハクに指示を出す。
低空飛行したハクからカイルは飛び降り上手く着地し、物陰に素早く逃げ込む。

ハクはしばらく目眩しに、船の上を旋回し海賊の目を逸らさせてくれている。
余りに優雅に飛び回るハクを呆れながらカイルは見上げ、撃たれるなよと心配する。

ボルテ公爵がいる部屋は階の1番下、ボイラー室横。頭に叩き込んだ船の図面を思い起こし、素早く移動する。
階段付近で1人海賊に遭遇し、ひと蹴りで仕留め、縛り上げ部屋に閉じ込める。

脱出ルートとしてはこの階段のみ、出来るだけ敵を減らし即座に脱出が出来るよう頭を働かせる。

最後の階段を降りるタイミングで、上から足音を聞く。
敵は何人だ?1、2、3人走り降りて来る。

武器庫か?
階段下に隠れ様子を伺う。
敵が再び階段を登りかける。

カイルは素早く飛び出し、1人2人と瞬時に倒す。無駄な血は流さない。
打ち身と骨折程度の力加減だ。
伸びた奴を階段下に縛りあげる。